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稲川一男校長先生インタビュー

2023(令和5)年9月2日実施

【稲川先生ご経歴】

1980(昭和55)年 東葛飾高等学校 入学

1983(昭和58)年3月卒業(第55期)

1987(昭和62)年 県の教員として採用

県立流山南高等学校、県立松戸国際高等学校、県立松戸馬橋高等学校などで26年間教壇に立つ。

教科は国語、部活では男子バレーボール。

2013(平成25)年 県教育庁 教育振興部指導課

2016(平成28)年 東葛飾高等学校 教頭

2018(平成30)年 県教育庁 教育振興部学習指導課

2021(令和3)年 市川市立大洲中学校 校長

2023(令和5)年~ 東葛飾中学校・高等学校 校長

 

【インタビュアー】

OBでもいらっしゃる先生は、かつて中学開校時の教頭をお務めになり、来る創立100周年の節目にあたる校長に就任なさいました。東葛とは実に縁のある教師生活となっておられますね。また、校長として東葛に着任されてから5ヶ月経ちます。このタイミングでの東葛の印象を改めてお伺いしたいと存じます。

 

【稲川校長先生】

このタイミングで東葛に籍を置けること、私自身幸せに感じております、敢えて選んでいただいたのかなとも感じますし、本当にありがたいことです。教頭として東葛に戻った際に「エリーゼのために」のチャイムを聞いたときは、涙が出そうになるくらい懐かしく感じました。2014(平成26)年に、旧一号館校舎が現在の本部棟に建て替えられたのですが、その際に放送室が無くなり、チャイムのオルゴールが置けなくなってしまいました。当時の放送部の生徒がその音を録音し、後々チャイムの音源に使えるようにしてくれたと聞きました。

 

【インタビュアー】

映画「ガリレオ 容疑者Xの献身」に使われた旧一号館の建て替えのときですね。チャイムの音源が変わっているとは思いませんでした。

 

【稲川校長先生】

はい。本当に懐かしかったです。スピーカーからマイクで録音したものなので、よく聞くと最後の方に雑音が入っているのですよ。

7年前教頭のときには東葛飾中学校が開校して2年目で、本当に何もないところに新しく中学校が作られた直後でした。人間に例えるならば、ヨチヨチ歩きの赤ちゃんだったその中学校が、今回戻ってみると、しっかりと独り立ちして立派な中高一貫校になっていると感じました。

 

また、2014(平成26) 年に千葉県の医師不足の実態を踏まえ、将来の地域医療を担う人材の育成を図るために医歯薬コースが設置され、今年で10年目となります。私が教頭でいた時に高校の2、3年生だった第1期生が大学に進み、今年令和5年の4月に医師国家試験合格し、医師として働き始めました。これらのことも大変嬉しく思っています。この後も続々と卒業生が続いてくれると思います。

 

【インタビュアー】

中学にしても高校にしても、先生は東葛とともに歩まれておられますね。

 

【稲川校長先生】

私は東葛が大好きですし、思い入れも強く、そして縁も感じております。校長として創立100年迎えるということで、ひしひしと重責を感じると同時に、大変嬉しく思っております。生徒の皆さんは後輩に当たりますので、可愛くて仕方がありませんね。

 

【インタビュアー】

さて、合唱祭を終えており、まもなく文化祭も無事終わりとなりますが…

 

【稲川校長先生】

スポーツ祭も終わっております。東葛は二期制で前期が9月までですが、「東葛三大祭」と呼ばれるスポーツ祭、合唱祭、そして文化祭は、全て前期に固まっており、後期は学習を深めてゆく期であり、動の前期・静の後期といった形です。

 

【インタビュアー】

そうでしたか。特に文化祭は4年ぶりに外部の方が入れるようになりました。三大祭をひと通り終えたところでのご感想はございますか?

 

【稲川校長先生】

それぞれの行事ごとに実行委員会が立ち上げられて企画を立て、さらに「プロジェクト」メンバー(ボランティアスタッフ)が100名以上集まり、生徒が主体となって各行事を運営しています。そのエネルギーが、本当に素晴らしいなと思います。一人一人が役割を全うし、協働することで、「心豊かな人間力」、思いやりの心や日標達成のために粘り強く取り組む態度を育んでいます。

 

また、各行事の開・閉会式には、実行委員会が製作するムービーが披露され、行事を更に盛り上げています。コロナで実施できなかったブランクの影響は、小さからぬものがありますが、それを取り戻しつつあるエネルギーを感じ取っています。

 

文化祭はさらに外部からの来場者を迎えました。それだけ多くの人を動かす経験というのは、なかなかできないことだと思いますので、実行委員やプロジェクトのメンバーは本当に良い経験をしていると思いますし、心豊かな人間力を育くむ場になっています。東葛の良いところですね。

 

【インタビュアー】

東葛に縁の深い校長として、この東葛を創立100周年からその先に向けて、どう引っ張って行かれるか、やってみたいこと仕掛けてみたいみたいこと、何かお考えのことがございましたらぜひお聞かせ下さい。

 

【稲川校長先生】

東葛は何といっても「自主自律」。私も卒業生ですが、自由の裏面には責任が伴うこと、そして、自らを律することの大切さをこの東葛で学びました。学校としては、全ての生徒と教職員が、幸せな生活を送れる学校、ウェルビーイング(幸福で身体的、精神的、社会的すべてにおいて満たされた状態)を実感できる学校、そして、保護者と地域の方々に信頼される学校を目指しています。

 

また、「スチューデント・ファースト」で生徒一人一人の成長を支援することを大切にしています。元々、東葛は生徒が主役で、それを先生方がフォローしていくという形で学校を経営しておりますが、2年前に千葉の全高校でスクール・ポリシーを作成した際に前任の校長先生が作られた東葛の教育目標(スクールポリシー)は、

 

自主自律の校是のもと、確かな学力と幅広い教養を身に付け、他者と協働しながら未来を切り拓く心豊かな次代のリーダーを育成

 

です。「心豊かな次代のリーダー」となるために、エージェンシー(変革を起こすために目標を設定し、振り返りながら、責任ある行動をとる力)を育成したいと思います。一生懸命勉強し、確かな学力をつけることは大切ですが、昔から自由研究があるように、受験勉強だけではなく、学問の本質や教科書に書いてないものを求めることも大切です。そういうものを求める生徒の気質もあり、また先生方もそういう授業をやってくださいますので、確かな学力とともに、現在「東葛リベラルアーツ講座」などで養われる幅広い教養、三大祭などを通じて養う人間力や心の豊かさ、それらを備えた次の時代のリーダーを育成したいと思います。

 

【インタビュアー】

少し脱線しますが、先生ご自身もこちらのOBです。 現在の生徒さん達を見ていて、ご自身の時代との違いみたいなところを感じることはございますか?

 

【稲川校長先生】

つい先ほど、OGのPTA役員の方から、お子さんと自分とでだいぶ違うとお話されたところです。私も卒業してもう40年ですのでだいぶ違いますし、時代も変わっておりますが、この5か月で見た限り、現在の生徒さんはとても真面目だなという感じがしますね。中には破天荒な生徒もいると思うのですが、なかなか目にする機会がありません。東葛生は、何かしら尖っているところがある人たちの集まりという印象でしたので、そういう面を見つけていきたいなと思っております。

一方で、生徒会の役員や三大祭の実行委員の人たちは、夜遅くまでセミナーハウス(秋瞳館)で作業してくれており、これは昔と変わらないなと感じますね。

 

【インタビュアー】

最後になります。OB・OG、先生や生徒さん、この記事を見たことがきっかけで入ってくるかもしれない将来の生徒さんたちも含めて、何かのメッセージをお願いいたします。

 

【稲川校長先生】

創立100年の伝統の重みとその節目に立つ責任をひしひしと感じております。

同窓会の皆さまにご協力いただき、在校生の皆さん、PTAの皆さま、同窓会の皆さまと力を合わせて、100周年を祝いたいと思います。ご協力のほど、よろしくお願いします。

 

また、OB・OGの皆様の母校である東葛高校は、創立100年の伝統を大切に守りつつ、常に成長の歩みを止めず、次の100年に向けて、チャレンジして、進んでまいります。これからもどうか東葛高校を応援してください。

稲川校長先生、お忙しい中お時間をいただきましてありがとうございました。

 

  参考リンク先  

校長室から - 千葉県立東葛飾高等学校Blog (chiba-c.ed.jp)

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